研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告

研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告

 

日時:2021年9月29日(水)18:00〜19:00(オンライン)

話題提供:藤浪武史氏(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)

モデレータ:太田広((公社)日本造園学会北海道支部)

 

北海道支部が主催する研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」が9月29日(水)18時より、オンラインで行われました。参加者は、大学・研究機関、ランドスケープ・コンサルタントなど23名で、東京、大阪など北海道外からの参加もありました。

“生態学的混播・混植法”は、噴火による荒廃地に先駆性や遷移中後期性の樹種が一斉に侵入することを参考に、北海道科学大学や寒地土木研究所などで開発された、自然に近い樹林の再生を目的とした実践的な森づくりの方法です。

研究会では、“混播・混植法”で植樹された地区のモニタリングやデータの解析を進めている、寒地土木研究所の藤浪氏より、これまでの植樹活動の実践と樹林形成の概要について話題提供していただきました。

また、本研究会に参加された“混播・混植法”の共同開発者でもある岡村俊邦氏(北海道科学大学名誉教授)からは、技術開発に着手した1991年当時は、播種を中心に実施していたことや、樹木生長の追跡調査の実施、植樹基盤の簡素化など常にPDCAサイクルを回し、改良を加えてきたことなどが紹介されました。

参加者からは、植生遷移までを計画して植樹を行っているのか等の質問があり、これに対し、二次遷移を対象とし、多様な光環境により植生遷移が起こるはずだとの考えで実施していること、また、植樹する樹種の中には針葉樹も含まれており、針広混交林の形成につながるとの考えが示されました。このほかにも、シカ食害対策についてや、積雪が樹木の生長に与える影響、植樹した地区別の生長の違いなどについて活発な質疑が行われ、予定の1時間を超えて、有意義な研究会となりました。

今後も、北海道支部では、ランドスケープ科学、造園学に関連するテーマを毎回設定して、研究会を企画していきたいと考えています。なお、この研究会は造園CPDの認定プログラムとして行われました。

 

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2021年10月15日 | カテゴリー : 研究会 | 投稿者 : jilah